今更ながらになりますが今回の釣行記は今年の晩春のオオモンハタ狙いでの地磯釣行。
ゴールデンウィークが終わり梅雨を迎える頃冬から変動の大きかった海水温もようやく落ち着きを取り戻しショアラインの浅場にも夏の魚達が戻ってくる。
オオモンハタやアカハタといったいハタ科の魚もその一つという事で初夏の本番を迎える前ではあるが大型のオオモンハタを狙いに久々に熊野方面の地磯へ。
車を停めまだ淡い緑の残った木々の生い茂った山道を歩き断崖を降りること数十分。
ようやくたどり着いた快晴の磯場は見渡す限りの青。
車の有無から誰もいない事を確認しているがやはり大自然に包まれた貸しきりの磯と言うのは気持ちがいい。
たとえ目当てのターゲットを釣れずともこの絶景の中に身を置くだけで来た甲斐があったと思えてしまう。
若い頃には思わなかったがやはり日々に追われて消耗している証拠なのか何もかも忘れてしまえる瞬間。
まぁなどと言ってもやはり釣り人。
ひとしきり景色を満喫すると釣りの虫が疼きだしてしまいいつの間にか海面をにらめっこしベイトやナブラ、潮の流れを確認し始めるわけですが・・・。
これはもうある意味病気ですね。
淡い期待を抱きながら海面を観察していたがこの朝はナブラは見つけられず表層に大きなベイトの群れも浮いていない様子。
あわよくば青物もと持ち込んだショアジギタックルにはひとまずベンチ入りしてもらって当初の目的通りオオモンハタ狙いからスタート。
まずはセオリー通りジグヘッドにシャッドテールの組み合わせのスイミングで広くサーチする。
と思いきや自分の場合はそれは二の次。
手返し良く潮通しのよい岩礁の上から中層でベイトを待ち構えている高活性の魚を拾う意味でもまずはメタルジグからキャスト。
潮目を目安に流れの効いている所を中心に手返し良く大きくしゃく上げとフォールを繰り返し食う魚を探していく。
すると2投目、フルキャスト後のファーストフォールのカウント中着低するかと言うところで「ゴゴッ」とバイト。
大きくフッキングを行いそのまま根から浮かせる為に一気に巻き上げる。
100m程遠投し水深25m程の場所でかけている為潮流が加わり重く感じるが引きは弱々しくあからさまに小型のアカハタの感触。
磯際から一気に引き抜いたのは案の定のサイズ。
そうそう数が釣れる訳ではないおかっぱりではリリースを迷うギリギリ25cm程と言った所だが深い所で食ってきたのを一気にゴリ巻きでランディングしているのでフックを外そうと口を覗き込むと空気袋が・・・。
急深の地磯が多く所々磯際から100m前後に水深30mラインが寄っているこの地方では良く見かけるパターンでエア抜きしない限り持ち帰り確定。
ストリンガーに繋いで生かしておきたい所だがこうなると腹を上に向けてしまう為それほど長く生きている事は少ないので困りものなのだがついついエア抜きの道具を買うのを忘れたのを現場で思い出す。
まだ開始2投目で幸先が良いのか悪いのかって感じだがとりあえず2019年のハタシーズン最初の一匹を釣る事が出来一安心。
これでもう既にアカハタは地磯のショアライン沿いに戻って来ているのは確認出来た。
後はメインターゲットのオオモンハタが寄ってきているかどうか・・・。
続けて40gのジグパラを先ほどアカハタを釣ったライン沿いにロングキャストし探って行く。
同じようにフォール中のバイトに意識を向けながら荒い根に根掛からないよう着低後即ワンピッチでシャクリ上げまたフォールを繰り返えしていく。
が、30分程で同じようなサイズのアカハタを二匹追加出来たものの目当てのオオモンハタからの反応は得られず35gのジグヘッドにパワーシャッドへチェンジ。
縦の誘いから横の誘いへかえて様子を見る。
着水後フリーフォールで一気にボトムをとり根掛かりを避けるため即座に大きくリフト、底を切ってからリーリングしスイミングで誘ってくる。
ジグ同様潮が走っているラインに沿うようにキャストを繰り返すが簡単には反応しない。
潮の上手から下手だけでなく下手から上手と立ち位置も替えてアプローチを繰り返すがフグの洗礼を受けるだけで無反応。
先ほどのアカハタは着低寸前のバイトだったし岩礁の上でベイトを待ち構えている高活性なオオモンハタやアカハタはいないのかもと今度は岩礁の谷間まで丁寧に探るため
ジグヘッドからフリーリグへ変更。
狙いがオオモンハタと言うのと飛距離の面で空気抵抗が大きく飛距離の落ちるホッグ系では無く空気抵抗が小さな細く硬いボディで飛距離が稼げて強烈なウォブンロールが高アピールのパワーシャッド4インチで岩礁の谷間を縫うようにリフト&フォールで泳がせてくる。
すると先ほどまでと違い数投ですぐに反応が。
谷間を意識し丹念にフォールを繰り返していると「ゴゴゴッ」と言うバイトで食ってきたのは先ほどまでのサイズよりは幾分かマシなアカハタ。
今までメタルジグやジグヘッドで探ったラインだがやはりアカハタは岩礁の谷間の奥にいたのか反応してくる。
狙いのオオモンではないが反応が返ってくると嬉しいもの。
モチベーションを保つ意味でも丁寧に岩礁の奥まで探ると答えてくれるアカハタの存在はありがたい。
気を良くし再びテキサスで丹念にアプローチを続けると今度は磯際の近くの急な落ち込みをなめるようにリフトさせている最中に「ゴンゴンゴンッ」と引ったくるようなバイト。
潮流も加わったなかなかの重量を感じつつしっかりとフッキングを決めて一気に浮かせにかかるがポンピングを行おうとロッドを下げた瞬間に走られピタっと根に張り付かれてしまい微動だにしない。
飛距離を出すためにPEはよつあみスーパージグマンの0.8号にリーダー5号の組み合わせ。
強度的にもあまり無理は出来ない上に岩礁に擦られキズが入ると抜き上げで切れる可能性がある。
擦られないように角度をつけるため高い所に足場をかえてラインテンションを張らず緩めず魚が自然と出てくるのを待つ。
実際は5分も待っていないのかもしれないがやたら長く感じる時間が過ぎる中ようやく魚が泳ぎだした。
先ほどまでのアカハタと明らかに違うトルクのある突っ込みを見せ抵抗するが今度こそは根に張り付かれまいと浅いポンピングを交えながらもほぼフルリーリングで強引に寄せてくると空気袋が膨らみ抵抗が軽くなった魚が浮いてくる。
磯際で最後の突っ込みを見せた茶色に小豆柄模様の魚影はまさしく待ち望んだオオモンハタ。
しっかりとフッキングしてくる事を確認し打ち寄せる波に乗せて一気に抜き上げる。
今シーズン初のオオモンハタ。
初釣行で獲れただけで運がいいのに38cm程とサイズも悪くない。
ついつい魚体を眺めて感動に浸ってしまっていたがそそくさとストリンガーに繋いで次を狙う。
経験上オオモンハタは一匹釣れれば群れが入っているのは当たり前だが食いが立っているタイミングの可能性が高い為続けざま釣れる事が多くゆっくりしてるとチャンスを逃す。
同じ立ち位置に戻りさっきの一匹が出た同じ方向を少しずつに刻みながらコースを変えてアプローチしてくる。
外洋から小さな湾に入った潮が再び外洋へ流れて出す一番潮流が効いているポイント。
急深で100m投げれば20mから30mと言うかけあがりが落ち込んでいく外洋向きとはうって変わって湾内は比較的浅くなだらかに落ち込む10m程の水深でいかにもベイトがたまりそうな場所。
どん深の地磯で狙うならやはりこのラインかと丁寧に探って行くとやはり食ってきた。
フルキャスト後の着低から岩礁を一山越えた後のカーブフォール中に「ゴンゴンゴンッ!」と強烈なバイト。
距離が距離だけに大きく巻き合わせでフッキングしフックを貫通させる。
驚いた魚がさっきの一匹よりも更に重い重量感の突っ込みをみせロッドが大きく絞り込まれる。
このトルクのあるダッシュはアカハタじゃない確実にオオモンハタ。
しかもサイズは45cmを越えているのは確実なヤツ。
是が非でも捕りたい。
飛距離優先の細糸だから強烈にロッドを絞り込み岩礁に張り付こうとダッシュする魚をドラグをほとんど出さずにロッドワークと立ち位置で交わさなければいけなく緊張感のあるやり取り。
しかも相当な距離と水深なだけにロッドを捌きポンピングする右手だけでなくほぼフルリーリングを強いられる左手の疲労がとにかくキツイ。
例えるならランディング直前、磯際やテトラ際で50cm程のハマチサイズの突っ込みや横走を無理やりひたすらフルリーリングで寄せている感覚。
青物と違い長い距離を走る訳ではないがある程度ダッシュ力もありスキあらば岩礁に張り付こうとするオオモンハタやキジハタ、マハタならではのやり取り。
これが根が荒くない堤防や根に突っ込まれる心配の少ないボートならまだ楽だが地磯は寄せれば寄せるほど更に岩礁が近くなる。
左腕に乳酸がたまり限界が近づいた頃ようやく浮き袋が膨張し抵抗が弱まった魚の姿が。
何とか一度も張り付かれることなく魚を浮かせる事が出来た・・・後はタイミングを見計らって波に乗せてずり上げれる場所まで誘導するだけ・・・と思っていたら最後の抵抗とばかりにまさかのダッシュ。
ほんの少し気を弛めた瞬間に磯際で根に張り付かれてしまいそうになったがオオモンハタも浮き袋のせいでうまく張り付く事が出来なかったのか何とかすぐに引っ張りだす事が出来そのままの勢いで誘導しズリ上げランディング。
久しぶりに捕った大型の魚。
これは50cmいったんじゃないかと言うサイズだったが計測すると48cm程。
今シーズン早くも後少しで50達成だったので少し悔しくもあるがさっきまでのファイトの疲労感が吹き飛ぶ程の十分に達成感のあるサイズ。
久しぶりにシャッターを押すのに夢中になってしまった。
まだ他にも魚が入っているだろうけれどもちょっともう満足してしまっている自分がいてストリンガーが繋いで魚体を眺めながら暫しの休憩。
やっぱりこの大型のイカツイ魚体は何度見てもカッコいい。
パッと見、腹パンの50オーバーのラージマウスバスみたいな体型で初めてそのサイズのバスを釣った小学生の頃の興奮を思い起こさせる。
ひとしきり感動に浸った後釣りを再開。
更に上のサイズ、50アップのオオモンハタハタを狙って同じパターンでアプローチする。
しかし時合いが過ぎたのか群れが移動したのか嘘のように反応が無い。
同じエリアの更に沖を攻めるためにワームをパワーシャッド4インチから小さく飛距離の出るパワーシャッドの3インチへサイズダウン。
フリーフォールで一気にボトムを取ってフリーのワームを漂わせていると「ゴゴゴッ」とバイト。
やはりまだいたか!とフッキングを決め浮かせにかかるがオオモンにしては軽くダッシュも繰り返さない。
一気にゴリ巻きで寄せてきた魚は案の定のアカハタ。
気が抜けて磯際のランディングを油断してしまい抜き上げでポロリとフックオフ。
浮き袋が膨張して腹を上に向けたまま沖に流されていってしまってかわいそうな事をした。
成す術も無くアカハタを見送っているとそれを狙うかのように上空をトンビが旋回しだし少し目を離したスキに海面から赤い魚体は消えていた。
少しいたたまれない気分ではあるがそこは弱肉強食。
気分を切り替え再びアプローチを続けるが干潮を過ぎ潮の流れが変わったのが原因かそれからはアカハタからの反応さえ皆無になり沈黙。
立ち位置を変えて他のエリアも探るがスタックが多くなりロストを連発。
モチベーションが下がって来たタイミングでストリンガーに繋いでいたオオモンハタが一匹息絶えかけているのを発見し新鮮なまま持ち帰る為ストップフィッシングとした。
結局この日は青物を狙う事無く終了したがいいサイズのオオモンハタと出会う事が出来初釣行としては満足の行く結果になった。
次は50cmオーバーのオオモンハタもしくは荒れたタイミングならヒラスズキ狙いか。